血圧を上げない食事をする

私たちが調味料として普段から用いている食塩は、塩素が6割、ナトリウムが4割の構成の塩化ナトリウムという化合物です。この食塩は、私たちが生命を維持していくうえで必要不可欠なもので、体内の塩分が不足してくると、頭が痛くなる、全身がだるくなる、胸がムカムカする、けいれんを起こす、というような症状があらわれます。ただ一方では、一度にたくさんの塩分を摂りすぎると、消化器が刺激され吸収力が低下したり、腎臓障害を起こしたりします。

塩分の摂取は、不可欠であり少なすぎてもいけないし、かといって、多すぎてもいけないのです。

塩分の摂りすぎで血圧が上がる

高血圧の人は食塩の摂取量を控えなければならないのですが、これは、必要以上の摂りすぎで血圧が上がることが実証されているためです。血圧が正常値の人でも、塩分の多い食事を続けていると高血圧になるし、高血圧の人が塩分を控えた食事を続けていると、ほかの条件などに左右されない限りは血圧が下がります。

日本人は、欧米人と比べると食塩の摂取が多いといわれていますが、これは、古くからの日本の食習慣によるもので、主食がご飯という関係上、副食として塩分が多めの味噌汁や漬け物、佃煮、干し魚といったものを好んで食べていたためです。現代では日本人の食事はだいぶ欧米化してはいますが、例えば東北地方などに高血圧の人や脳卒中の患者が多いというのは、あながち寒冷地に暮らしているせいだけでなく、塩分を摂りすぎの食生活に起因していることも考えられます。

塩分を多く摂取すると生理的な現象で水分も多く摂るようになり、そのために体内の水分量が増え、むくみが出たりします。そして、心臓の負担が大きくなります。高血圧の場合は特に必要以上の負担が心臓にかかっているし、食塩の摂りすぎによって、いっそう負担がかかってしまいます。さらに、高血圧は腎臓と密接な関係があるので、腎臓のためにも摂りすぎに気をつけなければなりません。

加工食品の塩分にも注意する

高血圧の食事療法では塩分の制限が必要になりますが、調味料として用いる食塩だけでなく、あらゆる食品に含まれているナトリウムも制限しなければなりません。

毎日の食事の中では、加工食品を利用する人も多いでしょう。加工食品の中には塩分をあまり感じさせないものもありますが、食べたときに塩味を感じなくても、実際には塩分が少なからず含まれていますので注意が必要です。食品のパッケージに食塩相当量のナトリウム含有量が表示されているものがありますので、参考にするとよいでしょう。

減塩食に向く野菜

減塩食は、食塩の成分であるナトリウムが体内で血圧を上げるのを避けるために行います。体内のナトリウムは、カリウムが尿の中に排泄されるときに一緒に排泄されます。カリウムは塩類と結びつきやすい性質をもっていて、カリウムを多く含む食物を摂るとそれに伴いナトリウムも排泄されることになります。

カリウムは野菜や果物、肉類に多く含まれています。肉類はナトリウムも多く含んでいますので、体内のナトリウムを減らすためには、カリウムを含みナトリウムを含まない野菜類の摂取のほうが効果的です。