ピラミッド建投のスタミナ源
古代エジプトにおいて、ピラミッド建設の重労働を担った作業員たちのスタミナ源になったといわれるにんにく。食事の後に気になる臭いが残るのは困りますが、独特の強い香りに思わず食欲をそそられてしまいます。この香りのもとは、にんにくに含まれるアリインというイオウ化合物によるもの。アリインは、すりおろしたり刻んだりすることによってアリシンという物質に変化します。アリシンは、ビタミンBlの吸収を高めて糖質や脂質の代謝を活発にします。このため、疲労回復やエネルギーの増強に大変役立つのです。また、にんにくはとても強い殺菌力をもっているため、ウィルスを退治してさまざまな病気の予防に有効です。
「脂質アリシン」が血管を拡張
アリシンには、脂質を分解してコレステロールを減らす働きもあるほか、血栓の生成を抑えて血流をスムーズにする効果も期待できます。また、アリシンが脂質と結びついてできる「脂質アリシン」には、抗酸化作用に加えて血管を広げる効果もあり、血圧を安定させて高血圧を予防してくれます。
ちなみに、アリシンは加熱することによってスルフィド類やアホエンなどの物質に変化します。これらにも生のアリシンと同じ効能が認められますが、加熱し過ぎると効能も風味も落ちるので、注意が必要です。
スコルジンに血圧降下作用
また、最近注目を集めているのが、にんにくに含まれるスコルジンという抗酸化物質です。スコルジンは無臭成分で、コレステロールや中性脂肪を減らす働きがあることが認められており、血行をよくして動脈硬化を予防する効果があります。
さらに、スコルジンはにんにくに含まれるカリウムとともに、ナトリウムを排泄して血圧を下げる効果もあるといわれています。効果たっぷりのにんにくですが、食べ過ぎると胃を荒らす原因となりますので、1日に生なら1片、加熱しても2~3片を目安に。