海藻類不足で生活習慣病が増加
ここ数十年ほどのあいだに、日本人の生活習慣病がおどろくほど増えた原因のひとつとして、海藻類の摂取が激減したことがあげられます。海藻類は、食物繊維やミネラルなどが大変豊富で、動脈硬化や高血圧、糖尿病などの予防にとても有効な食品。
野菜類とともに毎日食卓に登場させれば、栄養面でも料理のバリエーションの面でも、食生活が充実すること間違いなしです。「海の野菜」とも称されるわかめ、こんぶ、もずくやのりをたっぷりとって、生活習慣病を効果的に撃退しましょう。
海藻全般に含まれるアルギン酸
海藻類がなぜそれほど有効なのか。そのヒミツは、海藻類全般に含まれるアルギン酸です。アルギン酸は、海藻類特有のぬめり成分のもとになっている物質で、水に溶けてミネラル類と結合する性質をもっています。腸に達したアルギン酸は、腸内に存在するナトリウムと結合します。そして消化吸収されることなく便とともに体外に排泄されます。アルギン酸はこのようにして、血圧を上昇させる食塩(ナトリウム)を体の中から追い出す働きをしてくれるのです。また、アルギン酸はナトリウムばかりでなく、腸内で余分なコレステロールと結合して体外に排泄する役割も果たします。余分なコレステロールが排泄されることは、動脈硬化の促進を抑えることでもあります。アルギン酸は、さまざまな不要物を取り除いてくれる、優秀な掃除屋さんというわけです。
海藻でミネラルを摂取する
降圧効果の高いラミニン
アルギン酸のほか、カルシウムやカリウムが豊富なのも、海藻類の大きな特徴です。これらのミネラルはナトリウムの排泄を促して、高血圧の予防に有効です。また、こんぶに含まれるラミニンというアミノ酸には、血圧の上昇を抑える働きがあることがわかっています。だしをとった後も、余すところなく利用したいものです。